ブラジル遠征の意義

一般社団法人日本ソサイチ連盟の代表理事の馬場です。
この度、ブラジル遠征というかねてから抱いていた『夢』が、現実のものとして動き始めました。

そこで、今日はこの場を借りて、日本国内において『ソサイチ』という競技がどのように広く親しまれるようになったのかを、お話しさせていただければと思います。

また、『ソサイチ』の認知が進むにつれて、11人制サッカーの“疑似体験”以上の可能性に気づき、この新しい競技で解決し得る社会課題があると確信するようになった経緯についても、簡単にですが触れていきたいと思います。

ソサイチのはじまり

南米発祥の7人制サッカー

ご存知の方も多いと思いますが、『ソサイチ』とは南米発祥の7人制サッカーで、通常のサッカーとは異なる独自の規格やルールが存在します。

部活などでサッカーを経験されている方は、ハーフコートで練習や紅白戦をしたことがあるかもしれません。攻守の切替えが速く、11人制にはないおもしろさを感じた人も多いのではないでしょうか。

ソサイチは、そのおもしろさを追求していく中で生まれた競技ではないかと思っていますが、真相は定かではありません。(今後も成り立ちなどについては、研究を続けて参ります。)

フットサル全盛期の始まり

さて、それでは日本で初めてソサイチが行われたのはいつか?
それは今から15年ほど前、以前私が働いていた世田谷にあるフットサル場でのことでした。

当時、世間はフットサルブームに沸いていました。フットサル場の数は今ほど多くなく、特に週末は朝から晩まで利用客でコートが埋まっているような状態。そんな中、比較的空きのあった夜遅い時間帯で、常連客や知り合いに声をかけて大会を催したのが“はじまり”だったと記憶しています。

フットサルがジュニア世代の育成に広く取り入れられている今と違い、その頃フットサルを楽しんでいた人のほとんどは“サッカー”をしたい人たちばかり。フットサル場が増え、気軽にボールを蹴る環境は整ってきてはいたものの、フットサルという競技の虜となる人がいた一方で、「サッカーをしたい」と話す人も多くいました。そしてこの頃のソサイチ大会の参加者の多くが、広いスペースでボールを蹴れることに喜びを感じていました。

ソサイチ普及のキーワード

いま振り返れば、ソサイチの普及において最も重要なキーワードは『ちょうどいい』でした。

ピッチの広さやゴールのサイズ、7人というチームの人数など、ソサイチはちょうどいい具合に「おもしろい」と感じるツボを心得た競技なのだと思います。また、今後さらに普及をしていくのに、フットサルコート3面分ほどのスペースでできるというのは欠かせないポイントです。

今、国内には1000以上のフットサル場が存在するといわれています。(スターバックスコーヒーの国内店舗数が現在1260とのことから、その数の多さがうかがえると思います。)もちろん、すべてのフットサル場でソサイチができるわけではありませんが、日常的にフットボールを楽しめる環境は整ってきていると言えるでしょう。

フットボール界全体の発展に

ソサイチの普及は、施設を運営する事業者の方にとって経営資源を有効に活用するための“コンテンツ”が一つ増えることにもつながります。フットサル場で働いていた経験があるため、今でもこの点への思い入れは非常に強く持っています。

また、それがフットサル場の安定経営の一助となればフットサル界の発展にもつながり、それはひいてはフットボール界全体の発展にもつながる。ソサイチはそんな可能性も秘めていると次第に気づくようになりました。

公式リーグのもう一つの目的

日本ソサイチ連盟の設立当初から構想を練っていた公式リーグが、この2017年に4つの地域で開幕しました。(現時点では関東、関西、東海の3地域が開幕済みで、北海道が7月開幕予定となっています。)

この公式リーグはソサイチの普及活動の一部ですが、実はもう一つ大きな目的を持っています。それは「日常的に活動する小さなコミュニティを、日本全国にたくさん創る」というものです。

ヨーロッパの国々では、平日の夕方や週末に様々な競技のリーグ戦が行われています。各競技に参加するチーム数の多さなどからも、学生だけでなく一般の社会人にとってもスポーツが日常の一部として根付いていること、そしてそんな人たちが属する小さなコミュニティがたくさん存在することがわかります。

私の知人で海外生活の長い方がいますが、彼は「スポーツを通じてコミュニティに参加できる環境は、非常に重要な社会インフラの一つだ」と語っています。疎外感を感じやすい異国での生活の中では、より一層そのありがたみを感じることができたのではと想像していますが、国内においても同じことが言えるでしょう。

厚生労働省の調べでは、国内の20代の男女の約8割は、生まれ育った場所とは違う場所で生活をしているといいます。(第4回人口移動調査, 2016年実施 http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/117-1.html)このように人口の流動性が高まってくると、新しい土地で自分の居場所を見つけられない人も多いのではと思います。そんなとき、スポーツを通じて居心地の良いコミュニティを見つけることができたら、彼らの生活の質はきっと豊かになるだろうと信じています。また、セーフティネットに近い機能を担うこともできるはずです。

ソサイチの公式リーグの展開を通じて、そんな社会創りの実現に携われたら光栄です。

なぜソサイチなのか

先に述べた通り、サッカーだと人数が揃わなかったり、利用できる施設が少なかったりなど、様々なハードルがあり、趣味として気軽に楽しむのは難しいのが現状です。

日本ソサイチ連盟が後援するソサイチのワンデイ大会(1日完結型の大会)の数を見てみると、2011年には約780だった大会数が、2016年には約1500と5年間で約2倍に膨れ上がっていることがわかります。

そうした背景から、ソサイチはそれらのハードルをクリアできていると考えられます。

まずは認知度を高める必要が

2001年以降、地道な活動の甲斐もあり関東、関西、東海、北海道などでは普及が進んできています。しかし、決して誰でも知っているという状況には程遠く、またその他の地域では『ソサイチ』という単語すら知らないというのが現状です。

今後普及を進めるにあたって必要なことは、まず『ソサイチ』という言葉の認知度を高めることが重要です。

これまでも数々の海外遠征や全国大会、また2017年に始まった公式リーグが話題となり普及のスピードが上がってきていることは事実です。しかし、日本全国での公式リーグの展開などを考えると、あまりこの段階で時間をかけてもいられません。とにかく全国的に『ソサイチ』を広めて次の段階に進む必要があるのです。

余談になりますが、ソサイチに関してもう一つ面白いデータがあります。

それは歴代のワールドカップ優勝国では7人制サッカーが行われているというものです。(ドイツについてはしっかりと確認できていないのですが、その他はどこの国でも行われているようです。)必ずしも7人制サッカーが行われている国が優勝しているというわけではないですし、そもそもニワトリと卵のような話ではありますが、興味深いデータではありますね。

自分が生きているうちに日本がワールドカップで優勝しているところを観たいという想いは、サッカーに携わっている者の夢でもあると思います。

リオのBIG4とは

今回のブラジル遠征はこれまでの遠征とは違う点が2つあります。1つは主にリーグ戦に出場している選手で構成しているという点。そしてもう1つは、今回の対戦相手がブラジルの名門クラブであるという点です。

ボタフォゴ、バスコダガマ、フルミネンセ、フラメンゴといった4クラブは、世界的に有名なクラブでもあり現地での人気も相当なもの。そんなクラブとの対戦できる。これはサッカーをしてきた方にとっては夢のような話ではないでしょうか?

リオデジャネイロの公式ソサイチリーグの映像を見ても、そのレベルの高さは明らかです。そんなクラブを相手に、日本代表がどんな戦いを見せるのか。いまから楽しみでなりません。

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Esporte Interativoさんの投稿 2017年7月1日

 

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